恐怖 DUSTER
弥生は、溢れる涙を拭くこともせず、麻美に視線を向けて言った。



「あ、あの声は麻美だったのね!」



「そうよ、もう4年も前のことだけどね」



「4年前・・・4年前というと・・・」



弥生は、前の弥生の記憶を呼び起こした。



「弥生ちゃんが、初めて麻美ちゃんと出会った頃ね?」



「また、言った!」



「あっ!ごめん。・・・弥生ちゃんが、初めて麻美と出会った頃だね?」



弥生は、なぜ麻美が自分の名前のちゃん付けに、これほど神経質になるのか理解できない・・・?


「いい、弥生。あなたはもう弥生なの、7歳から14歳の弥生の記憶を常に把握して、行動しないとダメよ」



弥生には、理解しにくい事だったが、麻美の言うことには従うのが今の自分にとって必要な事なのだろうと弥生は思った。



「うん、解った。それで、話しの続きを教えて?」



麻美は、弥生を見ながら「本当に解っているの?」というような表情を向けながらも、話しの続きを始める。



「4年前10歳の時に、私がこの町に引っ越して来た時に、その転校したクラスに弥生あなたがいたのよ」



「私、弥生を初めて見た時に感じたわ・・・弥生の中に誰かいる・・・て」



「それから、弥生に興味を持ってすぐに友達になったの」



「そして、弥生を知れば知るほど弥生の中の誰かを強く感じるようになっていったのよ」



「その弥生の中の誰かは、いつも泣いていて、その悲しみがどんどん私にも感じるようになっていた・・・」




「でも・・・それが誰で、その悲しみがなんなのか全く理解できなくて・・・」




「だから、弥生の事を調べたの・・・」





「驚いたわ・・・私と弥生には共通する、ある出来事があったのよ・・・」






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