恐怖 DUSTER
「麻美と弥生ちゃんが共通する出来事・・・?」


「うん・・・私ね、6歳の時に事故にあったの・・・」


「事故?」


「そう、母と二人で帰省をしていた時に、乗っていたバスが交通事故にあったの」



「ひどい事故だったわ。私と母が乗っていたバスに居眠り運転のトラックが後ろから、ものすごいスピードで追突してきたのよ!」



「そして追突されたバスは、バランスを失って横転してしまい、周りの車も巻き込んで大惨事になったの」


「私は運良く軽傷ですんだんだけど、そのかわりに母は死んだわ・・・」



「・・・麻美のお母さんは亡くなったの・・・」



「横転するバスの中で、私を強く抱きしめながら自分がクッションの代わりになって、私を助けるために死んじゃった・・・」



「でもね・・・バスが横転して止まった時には、母はまだ生きていたのよ・・・」



麻美の表情がみるみるうちに暗くなっていく。




思い出すだけでも身を引き裂かれるほどの苦痛と悲しみがあるように弥生は感じた。




「麻美、辛かったら話さなくてもいいよ」



弥生の一言が嬉しかったのか、麻美の表情にほんのわずかだが明るさが戻ってくる。




「ありがとう。でも、大丈夫よ。この話はどうしても弥生には聞いてもらいたいのよ」




弥生は、麻美に向かって無言でうなずいた。





麻美は、静かに話を続けていく・・・
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