恐怖 DUSTER
「あ、麻美・・・あの時、確かあなた・・・?」


「思い出した?そうよ・・・あの時、私は感情を無くしてしまったの・・・」


弥生は記憶を思い起こしていた・・・


確かに麻美は救助された後も、まるで人形のように何も答えず、何も反応する事は無かった・・・


同じ病院でしばらく入院していた時、私がお見舞いに行っても麻美は何も答えてはくれなかった・・・


「私ね、弥生が何も答えてくれないのは、麻美が私の事を怒っているんだと思っていたの・・・」


麻美は、微笑み優しい声で麻美に答える。



「怒ってなんか無かったよ。怒るも何もあの時の私は感情が心が無かったから・・・」



「ううん・・・正確には無かったんじゃなくて壊れていたのね・・・心が・・・」



「心が壊れた・・・?」



「そう・・・壊れたの。弥生が退院して病院からいなくなった後も、私の心は壊れたままだったのよ」



麻美が自分を怒ってなかった事実を知り安堵した弥生だったが、麻美の悲しみがどれだけ強かったのかを知り心を痛めた。



「麻美の心はずっと壊れたままだったの?」



麻美は微笑みながら、どこか楽しそうに弥生に言った。



「壊れていたのは、私の誕生日の時までね」



「誕生日の時まで?」



麻美の言う事が理解できない弥生・・・?



「ほら!さっき言ったでしょう?シュタイナーの7年周期」


「あ、あの7年で細胞が全て変わるという・・・」


「そう、細胞だけでなく心も変わる7年周期ね」


「じゃ!麻美は7歳からの新しい麻美なの?」




弥生の中で大きな不安が生まれてくる。麻美は自分とは違う新しい心の麻美なのかと?
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