恐怖 DUSTER
自分を不安そうに見つめる弥生の視線を感じた麻美は優しく微笑んだ。



「私も・・・私もね。弥生がずっといたあの暗闇にいたのよ・・・」



麻美の言葉に弥生は驚いた。



「麻美も、あの暗闇の場所にいたの?」



麻美はゆっくりとうなずく。



「私の誕生日の日に、新しい麻美の心の奥深くにできた、なにも無い、なにも感じないあの暗闇に私はいつの間にか移されていたのよ」



「いつの間にか移された?」



弥生は驚いたが、麻美に対する疑問はまだ拭えずにいた。



・・・私と同じように移されたとしても、あの当時の麻美は私と違って感情が無かったのだから、どうやって新しい心の麻美と再び入れ替わったのだろう・・・?




・・・本当に麻美は、私と同じ7歳までの心の麻美なのだろうか・・・?



・・・7歳からの新しい麻美の心がそう思っているだけではないのだろうか・・・?




・・・7歳までの麻美の心の記憶も移し変えられるのだから・・・?




・・・現に今の私も、7歳からの新しい弥生の心の記憶を再び全て移し変えて把握しているのだから・・・




・・・麻美・・・




・・・あなたは、本当に7歳までの心の麻美なの・・・?






弥生の心に言い知れぬ不安と疑問が湧き上がって来た。




< 61 / 190 >

この作品をシェア

pagetop