恐怖 ＤＵＳＴＥＲ
「私の誕生日の日にね、１４歳の新しい心が私の夢の中に現れたのよ」


「１４歳の麻美は、夢の中で私に同化しないかと交渉してきたのね」


「私も最初は警戒していたけど、１４歳の麻美を見ていたら彼女からは何も力を感じなかっのよ」


「つまりね思春期を迎えるためには、１４歳からの心はより多くの感情を吸収し蓄える必要があるから、入れ替わりの存在を知り拒否しようとする私という心に対応する事ができないていうことね」


「ご、ごめん・・・麻美の言ってることが解らない・・・？」


弥生は今まで感じていた事を、思わず言葉にしてしまった。


思わぬ弥生の返答に麻美は少し困った表情をしながら考え込んでいた。



そしてしばらくの沈黙の後、弥生に視線を向けて言った。




「う～ん・・・例えは悪いけど・・・あえて言うならば、私達の存在は記憶をダウンロードしている時に突然現れたバグであり、そのバグが長い年月を経てコンピューターウイルスに変化してしまったてことかな」


「コンピューターウイルス？」


「そう、コンピューターが私達の心でバグとウイルスが今の私と弥生」


バグとウイルスに例えられて、弥生の気持ちは少し暗くなった。



麻美は自分が例えた話が的確なものと感じたのか、喋り方が滑らかになっていく。



「その強力なウイルスに対抗する事ができないと判断した１４歳からの麻美の心は消去する事を断念して、同化する事により自分の存在を維持する事を選択したのね」



「たぶん１４歳からの麻美の心は、その前の１４歳までの麻美の心が既に存在して無い事を感じて、私と同化する事を望んだんだと思うわ？」



「それはそうよね。自分が受け取るはずだった１４歳までの記憶を、ウイルスである私が持っているのだから、そのまま同化すれば何の問題も無く麻美という心のプログラムは支障も無くスムーズに起動するのだから」

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