恐怖 DUSTER
・・・裕子と恵子じゃなければ、いったい誰で試したというのだろう・・・?


・・・試すていっても、麻美や私のように心が壊れるような経験も無い相手で試せるの・・・?


麻美は一人っ子だから兄弟も姉妹もいないし・・・?


・・・いったい、どうやって・・・?


考えも及ばない不可解な麻美の言葉に弥生の心は混迷の疑問に満ちていた。



「そう、里美もちゃんと入れ替われた事を、やっと理解できたのね」


「えっ!」


里美と言う麻美の言葉に弥生は驚いた。


「里美!里美も入れ替わったの!」


大きく声を張り上げる弥生に、麻美は一瞬驚いたが弥生に手をかざし制するような仕草を向けて、何事も無かったように会話を続けた。


「うん・・・そう・・・今の声は弥生よ」


「うん・・・大丈夫、弥生も無事に入れ替われたから」


弥生は自分の驚きの問いかけに答えず携帯の相手と会話を続ける麻美に少し苛立ちを覚え始めた。


・・・麻美の携帯の相手はいったい誰なのよ・・・?


・・・入れ替わりの事を理解しているということは、私たちと同じ心が入れ替わった子なのよね・・・?


・・・いったい、誰なの・・・?



麻美は、戸惑っている弥生の表情を見て気遣うように言った。



「弥生、携帯話す?」



麻美の言葉は、今の弥生にとっては疑問の泥沼に落ち込んだ自分を救い出す一本の命綱のように感じた。




「うん!変わる、お願い話させて!」





麻美から携帯を受け取った弥生の耳に、聞き覚えのある声が飛び込んできた。
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