恐怖 DUSTER
「父さんは後ろのドアを開けようとしたけど、事故のせいでドアは開かなかったのよ」


「私と妹は事故のショックで体は動かなかったけど意識だけはあったのね」


「妹は事故の恐怖で怖い怖いと何度もいってるから、私はずっと励ましていた」


「大丈夫!お父さんが必ず助けてくれるから。て、何度も・・・」


「しばらくして、父さんはどこからか拾ってきた石を窓ガラスに叩きつけて割って、まず私を窓から引っ張り出したの」


「その時、妹は私が脱出していくのを見て怖くなったのか、私の左手を力無く掴んだの、私が大丈夫すぐ出られるからて言ったけど、怖かったのね妹は離そうとしなかったわ」」


「それでも、父さんが私を窓から引っ張り出したら、妹の小さな手は私の左手から離れたの、運び出される私を弟はずっと見つめていたわ」


「そして父さんは、私を抱きかかえて車から少し離れた所に避難させた時に・・・」



そう言うと、千恵は言葉を詰まらせた。



里美が心配そうに千恵の手を握り見つめた。



「ごめん、大丈夫だから。話を続けるね」


「私を非難させた後にね、妹がまだ残っている車が突然炎上して火達磨になってしまったのよ」


「その地獄絵図のような場面を、私は全部見続けていた・・・」


「動けなかった妹は、炎から逃れようと懸命に体を動かし割れた窓に向かったんだけど両手を窓から出すのが精一杯だった・・・」


「妹は両手を出しながら、私に助けを求めるながら炎に焼かれていった・・・」


「妹が炎に焼かれていくのを見続けた私の心は・・・」


「・・・そこで壊れてしまったのよ・・・」


「それから、事故のショックで放心状態のままの私は、入れ替わる誕生日をむかえてしまって、あの暗闇の場所に閉じ込められてしまったの・・・」




「・・・そして、私は全てを新しい心に奪われた・・・」
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