恐怖 DUSTER
「だからね、弥生の心はもろく弱いの」

「それって、また前の弥生の心に入れ替わられる恐れがあるってこと?」

「えっ!」

千恵の質問に、弥生はあの暗闇の場所を瞬時に思い出し恐ろしくなった。


・・・あの暗闇の場所には二度と戻りたくない・・・


「その心配は無いわ、前の心の弥生は自我が崩壊しているから今の弥生の心に記憶を全て吸収されて消滅しているから、14歳からの心は同化を選択しているからこれも問題はないわ」


麻美の言葉に弥生は安堵した。


「でもね、その次の心には対応できるか解らないの」


「心が強ければ入れ替わりを防ぐ事はできるけど、私たちと違ってあの暗闇の場所に閉じ込められていたのは、心の欠片だったから・・・」


「心の欠片!」


千恵と里美が驚きの視線を弥生に向ける。


「そうなのよ、だから今日の弥生の入れ替わりも記憶を持たずに現れたのよ」


麻美の言葉に驚きながら千恵が言った。


「弥生、よく入れ替われたね!」


弥生は千恵の言葉に戸惑いながら答えた。


「麻美ちゃんがね、弥生ちゃんを恐怖にいざなってくれたから入れ替われたのよ」


「麻美ちゃん!?」


千恵が大きな声で言い、里美も驚いた表情で弥生を見つめた。


「弥生、また!言った!」


麻美が怒鳴るように叫んだ。


「あっ!ごめん」


弥生は慌てて、手で口をふさいだ。


「びっくりした!弥生が麻美を、ちゃんづけするなんて」


千恵がそう言うと、後ろの里美も無言で何度もうなずいた。


「ねぇ、麻美、弥生は大丈夫なの・・・?」

そう言う千恵に、弥生は麻美に思う疑問と同じものを感じた。


・・・千恵まで、ちゃんづけにこだわっている・・・?
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