恐怖 ＤＵＳＴＥＲ

「前の弥生と出会い親友になってから、前の千恵とも積極的に話しかけて友達になったのよ」

「弥生は親友で、私は友達なのね・・・」

千恵が皮肉ぽい口調で言う。

「細かい事はいいでしょ。今の千恵じゃなく、前の千恵のことなんだから」

「あっ！そうだね♪」

千恵は小さく下を出して言った。

「前の千恵と出会ってから、閉じ込められている千恵が誤り続ける存在の里美の事を知ったのよ」

「私たちと同じように、事故によってあの暗闇の場所に閉じ込められている者がいるんだってね」

麻美が里美を見つめながら言った。

「でもね・・・閉じ込められている里美は意識が無いし、前の千恵と前の里美は友達でも無かったから見つけ出すのに苦労したのよ・・・」

麻美の友達でも無かったという言葉に悲しい表情を見せる千恵と弥生。

「結局ね、里美を見つけ出すのにまた１年の年月がかかったのよ」

「１年も・・・」

弥生は麻美の執念の強さに感心していた。

「でも、どうやってあの暗闇の場所で眠っている里美を見つけ出す事ができたの？」

「くす♪」

麻美は笑いながら言った。

「里美に対して、あの暗闇の場所から謝罪し続けている千恵なんだから、おそらく表面に出ている前の千恵も前の里美と出会ったらなんらかの意思表示があるんじゃないかと推理して、常に千恵を監視する事にしたの。前の弥生にも手伝ってもらってね」

「前の私にも？・・・どうやって？」

「簡単よ！千恵が誰かにいじめられているみたいだから注意していてね？と、言ったのよ」

「私がいじめられていると？」

「そうよ。あの場所で閉じ込められている千恵は里美に対して負い目があると予想したから、前の千恵が前の里美と出会ったら無意識に避けると判断したの」

「私が里美を避ける？」

「違うって！前の千恵が前の里美を避けるのよ」

「それでうまくいったの？」

麻美は呆れた表情で弥生を見つめ言った。

「覚えてないの？弥生が千恵が里美を避けているのを発見したんじゃない！」

「私は里美を避けたりしない！」

「だから、前の千恵だって！」

「ちゃんと、前ってつけてよね」

千恵の言葉に呆れながら麻美はつぶやいた。

「・・・あのね・・・」