僕の姫~ちっぽけな勇気~
「そ…それは…」


一瞬、ごまかそうと思った。


そんな僕の思惑が兄貴にはお見通しみたいで、肩をポンッと叩かれた。


『知世のためにも言ってやれ』とか

『いつまで隠すつもりだ』とか

そういうのが伝わってくる。


言わなくちゃ…


今言わないといつ言うんだよ。


僕は決意した。


「知世ちゃん、よく聞いてね?

僕の第1志望はここらへんじゃなくて、京都の大学なんだ。

第2志望もここらへんじゃない。

どこに行くにしても、僕が大学に行けたらここを出るつもりだよ。」


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