ホスト前線上昇中
始まりは×××
 「今日から私の新たな歴史がスタートするのよ」
大袈裟な気もするが。
校門の前で拳を握りしめる一人の少女。この物語の主人公である。

「おはよう」
こっちは中学の時からの大親友、保岡珠希(やすおかたまき)。
高校も同じ学校なんだ。

「おっす~!珠希!同じクラスだといいね」
皆様、初めまして。
私の名前は杉原渉(すぎはらわたる)、十六歳、早乙女高等学校の一年生。
よく男と間違えられる名前なのだが、ここだけは声を大にして言いたい!!私は正真正銘の『女』です!!

「渉、高校生になったんだから少しは女ぽくなったら?そんなんじゃ彼氏もできないわよ」

「はいはい、伺っておきましょ」

「……もぅ!!」

私たち二人は学校の正門をくぐると、クラスが張り出してある掲示板の前にたどり着いた。

「えっ~と、あっ!あった!A組かぁ……珠希はC組。別れちゃったね」

「まぁ、別にクラスが離れたって私と渉の関係は変わらないし、ちょくちょく遊びに行くよ」

「そうだね。……ねぇ、あの『特別クラス』って何?」
ずら~と並んでいる名前は何故か男子ばかりだ。G組(特別クラス)の注釈がさっきから気になって仕方ない。

「渉、知らないの?」

「うん……つーか、みんな知ってるもんなの?」

「普通はね……いいわ、あんたには特別に教えてあげる」

いつものことだしと言わんばかりのため息。
だって~そんな細かいとこまで気にして受験してないって!(いや、普通はすると思うけど)
ただ珠希と一緒の高校行くために必至で勉強してただけだもの……。

で、肝心の『特別クラス』の内容であるが、頭脳、運動神経、容姿が三拍子揃った男子だけが入れるクラスなんだって。通称、『ホストクラス』とも言うらしい。(イケメンばかりだから)いや~これぞまさに『特別』だわ。
ウチの高校は付属中学生と外部生の割合が三:七だったりする。つまり外部生の方が多いってこと。
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