ホスト前線上昇中
「久しぶりだね!渉!!」
後ろからポンと肩をたたかれて振り向くと、
「珠希!!」
彼女の笑顔に触れることが懐かしく思える。
「やっぱクラスが違うと同じ学校でもなかなか会えないよね~どう?決めた?」
「なっなっ何を?」
「嫌だな~そんな驚くことないでしょ。部活よ、部活」
あっ……そっか。
「まだ迷っているんだけど陸上部にしようかなって。珠希は?」
「演劇部。これから入部届け出してくるとこ。じゃあね」
確か……彼女の将来の夢は舞台女優だっけ。
いいな~夢があるって。
「うん。舞台見に行くから」
彼女は『ありがとう』と言う代わりに手を振ってくれた。
私も陸上……頑張ってみようかなぁ。
珠希に刺激されてそんな気になっていた。
我ながら結構、『単純』なのかもしれない。
☆
「よろしくお願いします」
「一年A組の杉原渉さんと柳谷深雪さんね」
私たち二人は『陸上部』の部室の門を敲くことに決めたのだった。
今、目の前にいるのは三年の女子陸上部のキャプテン、椎名千佳(しいなちか)先輩。
椎名……どこかで聞いたことが……。
「もしかして一年に妹さんがいるとか?」
「杉原さん、よく知ってるわね。クラス違うのに」
やっぱり……。
世間って案外、狭いんだなぁ。
「はぁ……ちょっといろいろ複雑なことに巻き込まれまして」
流石にこれ以上は言えない。
「村瀬君?」
「まぁ……そのなんて言うか」
こんな時なんて言ったらいいのか分からないよ~っ!
素直に『そうです』と言えばアノ話になるだろうし。
(今は美由紀の話をこれ以上したくない)
「それにしても――もったいないわよね、彼。陸上辞めちゃうなんて」
えっ?!
陸上を辞めた……?
後ろからポンと肩をたたかれて振り向くと、
「珠希!!」
彼女の笑顔に触れることが懐かしく思える。
「やっぱクラスが違うと同じ学校でもなかなか会えないよね~どう?決めた?」
「なっなっ何を?」
「嫌だな~そんな驚くことないでしょ。部活よ、部活」
あっ……そっか。
「まだ迷っているんだけど陸上部にしようかなって。珠希は?」
「演劇部。これから入部届け出してくるとこ。じゃあね」
確か……彼女の将来の夢は舞台女優だっけ。
いいな~夢があるって。
「うん。舞台見に行くから」
彼女は『ありがとう』と言う代わりに手を振ってくれた。
私も陸上……頑張ってみようかなぁ。
珠希に刺激されてそんな気になっていた。
我ながら結構、『単純』なのかもしれない。
☆
「よろしくお願いします」
「一年A組の杉原渉さんと柳谷深雪さんね」
私たち二人は『陸上部』の部室の門を敲くことに決めたのだった。
今、目の前にいるのは三年の女子陸上部のキャプテン、椎名千佳(しいなちか)先輩。
椎名……どこかで聞いたことが……。
「もしかして一年に妹さんがいるとか?」
「杉原さん、よく知ってるわね。クラス違うのに」
やっぱり……。
世間って案外、狭いんだなぁ。
「はぁ……ちょっといろいろ複雑なことに巻き込まれまして」
流石にこれ以上は言えない。
「村瀬君?」
「まぁ……そのなんて言うか」
こんな時なんて言ったらいいのか分からないよ~っ!
素直に『そうです』と言えばアノ話になるだろうし。
(今は美由紀の話をこれ以上したくない)
「それにしても――もったいないわよね、彼。陸上辞めちゃうなんて」
えっ?!
陸上を辞めた……?