ホスト前線上昇中
「あの、辞めたってどういうことなんですか?」
あいつのことなんて興味ないのに、咄嗟に先輩に質問していた。
何の躊躇いも無かった……。
「アキレス腱を去年の夏の全国大会の決勝戦中に切ったの。確か……今はもう治って大丈夫のハズなんだけど。彼はハードルの選手でね、当時は優勝は間違いなしと期待されていたわ」
「そう……ですか。きっと彼にとっては相当な挫折感だったんじゃないでしょうか。陸上をやりたくなくなるほどの」
プライド高そうだもんね。だからショックから立ち直れなかったんだろうな……って!
「……渉」
深雪の視線を感じてふと我に返る。
私──今、
あいつのこと考えて……た。
「これまで私たちは復帰するように勧めてきたわ、でも無理だった。杉原さん、あなたなら彼を変えられるかもね」
「え?」
「直感よ、女の直感、もしかしたら……ってね。みんな思っているのよ、もう一度彼に戻ってきてほしい、優勝してほしいって。杉原さん、お願い!!あなただけが頼りなのよ!!」
「先輩……」
彼女の目はとても優しくて真っ直ぐだった。
期待……されているのかな?
でも――先輩、
私には何もできないです。
あいつのことなんて興味ないのに、咄嗟に先輩に質問していた。
何の躊躇いも無かった……。
「アキレス腱を去年の夏の全国大会の決勝戦中に切ったの。確か……今はもう治って大丈夫のハズなんだけど。彼はハードルの選手でね、当時は優勝は間違いなしと期待されていたわ」
「そう……ですか。きっと彼にとっては相当な挫折感だったんじゃないでしょうか。陸上をやりたくなくなるほどの」
プライド高そうだもんね。だからショックから立ち直れなかったんだろうな……って!
「……渉」
深雪の視線を感じてふと我に返る。
私──今、
あいつのこと考えて……た。
「これまで私たちは復帰するように勧めてきたわ、でも無理だった。杉原さん、あなたなら彼を変えられるかもね」
「え?」
「直感よ、女の直感、もしかしたら……ってね。みんな思っているのよ、もう一度彼に戻ってきてほしい、優勝してほしいって。杉原さん、お願い!!あなただけが頼りなのよ!!」
「先輩……」
彼女の目はとても優しくて真っ直ぐだった。
期待……されているのかな?
でも――先輩、
私には何もできないです。