ホスト前線上昇中
「来てくれるって思ってたよ」

先に校門で待っていてくれたのは彼の方だった。
爽やかな笑顔で優しく手を振って合図してくれた。

しかし、

目立ち過ぎるよ──!
校内女子をまた敵に回してる私って……一体。
相変わらず視線も痛いんですけど。

「あの、えっと……その」

こんな時なんて言ったらいいのか、適当な言葉ですら見つからない。

「行こう!」

えっ!?

彼は私の手を軽く握ると、そのまま駆け出した。

──よく、恋愛漫画とかであるじゃない。『愛の逃避行』?的なのが。
主人公が『このまま時が止まらないでほしい』って思うやつ。

そんなちょっと馬鹿げたことを考えていたら、心臓のドキドキが止まらなくなっていた。

「ここまで来れば大丈夫」

二人で一生懸命走って着いた所は、小さな喫茶店の前だった。
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