ホスト前線上昇中
大嫌い
 「あの子よ、あの子」

「ほら、G組の……」

「へぇ〜」

ヒソヒソ話も全部聞こえてるつーの!
『性悪女』か……。呼びがかかるのも時間の問題だなぁ。

廊下を歩いて下駄箱に行く間に何人の生徒とすれ違っただろう。
その殆どが自分の噂をしているのかと思うと非常にやるせなくなってくる。

こんな時は気にせず、干渉しない方がいいのは誰よりも私が分かっているハズなのに……。

やっぱり、

辛いよぅ。
やばっ、本気で涙出そう。



「杉原さん」
背後で呼ばれた気がして私は振り向くと、そこには少女が一人立っていた。

「あなたが杉原渉さんね」

「そうですけど……何か?」

「ちょっと一緒に来てもらえるかしら?」

もしかしてこれが例の──?なんだかなぁ〜そんなオーラ出てるし。

ここで抵抗しても事態が好転するわけでもなく、寧ろ私の言い分を聞いてもらえるチャンスだとそう思うより仕方なかった。
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