トリプレ
「待って!待って!」
 モモとスズカの間に入って止めた。これが結構勇気がいる。
「喧嘩をしたくて、呼んだわけじゃないんだよ。」
「何さ!琉璃だって彼氏ばっかだったくせに…。」
 スズカに言われて、ドキッとした。やっぱり、私だってそうだったんじゃん。でも…
「スズカの気持ちはよくわかるよ。好きな人とは一緒にいたいよね。私だってそうだもん。でもモモの気持ちもわかる。私達、小学校から一緒じゃん。」
 小学生の頃からの友達。それこそ、何度も喧嘩した。泣いた事だってあった。でもいつの間にか仲直りしていて、やっぱり一緒にいた。私達の友情は、中学に入ってからだって変わらないハズ。
「ずっと一緒にいた友達に彼氏が出来るのって、少し複雑な気持ちになるね。でも友達には変わらないでしょ。こんな事で私達の友情は終わらないでしょ。友達って彼氏がいる、いないは関係ないじゃん。好きな人がいる事は良い事だし、友達が彼氏ばっかになって寂しくなるのも友達の証拠だよ。」
 私は一生懸命だった。モモとスズカとはずっと友達でいたい。どっちかなんて選べない。私はこの二人と友達だから。
「本当は、スズカが彼氏ばっかで寂しいんだよ。それを言いたかっただけ。でも喧嘩になっちゃって…。私は、二人とずっと仲良くしていきたい。」
 モモもスズカも俯いたまま、何も言ってくれなかった。大丈夫、二人ならわかってくれる。
「ごめん、スズカに八つ当たりしたかも。」
「私もごめん。もっと考えるべきだったね。」
 お互いに笑って、またいつもの二人に戻った。
 良かった…。友情だって無敵じゃん。私は、彼氏と同じくらい二人の事が好きだよ。
< 116 / 203 >

この作品をシェア

pagetop