トリプレ
 学祭当日。私って本当にクラスに必要とされてないんだか、カジノの当番すらない。ひたすら自由時間なんですけど…。暇だな。独りで学祭楽しめますか?
 琉璃のとこ行こうかなぁ。モモと一緒かもしれないし。
「瑞穂、瑞穂。」
 廊下を歩く私の後ろを紘貴が追いかけてきた。
「どうしたの?」
「妹が来るんだ。だから、一緒に回りたいなって。」
「そうか、来れるんだ。」
 それよりも紘貴と一緒にいられるのかぁ…やべー、嬉しい…って、アホかー!!
 自分で自分の頬をビンタする。
 何を嬉しがってんだ、紘貴はあくまで友達だからな。変な感情はない。嬉しいわけがない。ちっ、めんどくせぇなが本心よ。
「大丈夫?」
 紘貴が若干引いている。
「で、いつ頃来るの?妹は。」
「これから迎えに行って来る。」
「外出ていいの?」
「だから内緒で。玄関で待ってて。」
 紘貴は嬉しそうだ。こんなにはしゃいでいる紘貴は初めてだな。妹の事、大事にしてんだなぁ。どんな子なんだろう、紘貴の妹って。
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