トリプレ
 相良君の妹、由衣ちゃんが学祭に遊びにきた。由衣ちゃんはずっと入院しているせいか、肌も白くて痩せていた。呼吸も苦しそうで、話すのも辛そうだった。
 なのに由衣ちゃんはずっと笑っていた。相良君にそっくりな笑顔。
 由衣ちゃんから、相良君が父親から虐待をされていた事、その父親が覚せい剤で逮捕された事、それから叔父さんの家で暮らしている事を聞いた。
 お母さんや裏のおばさんがお菓子を食べながら話題にしてた相良君の事情は、壮絶だった。
 これが相良君の隠していた過去。
 姉妹を大切にと言った相良君。相良君にとって由衣ちゃんはかけがえない家族なんだ。だからあんな風に言ってくれたんだ。失いかけた相良君だからこそ、言ってくれたんだ。
 何もわからず、適当に生きてきた自分が恥ずかしい。
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