トリプレ
ドアを開けると薄暗く、相良君の姿が見えなかった。瑞穂が先に入る。私はそれに続き、明日香が後ろに続いた。
足を踏み入れた途端、足の裏に何かが刺さった。痛くて思わず体を引いた。
よく見ると、それはリングノートの針金のようだった。ノートから外され、螺旋だったハズのそれは丁寧に真っ直ぐにされていた。足元にはまとまっていたハズの紙が散乱していた。
部屋は散らかっていた。足元をよく見て歩かないと、何が落ちているのかわからない。
瑞穂はゆっくり進んだ。その度に何かを踏む音がする。部屋の奥のベッドの上…そこに彼はいた。
「何しに来た?」
相良君の渇いた声。今まで聞いた事がない。
「紘貴の顔を見にきたよ。」
瑞穂の喉が鳴った。きっと緊張してる。
「お前らが来たって何も変わらない。由衣が生き返るわけじゃない。」
相良君の鋭い眼光が私達を捉えた。心臓の鼓動が速くなっているのを感じていた。
「ずっと考えてたよ。俺の人生…由衣がいるからあったんだ。由衣がいないのに生きてたって意味ないよね。」
「相良君がいたから由衣ちゃんだってここまで頑張ってこれたんだよ。」
私は何も言葉が出なかったのに、明日香は答えていた。強いな、って思った。
「俺だって由衣がいたから死なずに生きてきたんだ。でももう由衣はいない…。由衣のいない世界で…生きていたってしょうがない!」
相良君が動いた。机の上のハサミに手を伸ばした。
「やめろーっ!」
瑞穂が飛び掛かる。
相良君は瑞穂に押され、壁に背中を打ち付けた。
一瞬の出来事で何が起きたかわからなかった。
だけど、相良君の右手にハサミがあるのが見えてそれを取り上げるだけで精一杯だった。なかなかハサミを手放してくれず、無我夢中で引っ張った。刃を握っていたなんて気が付かなかった。掌の痛みを感じて、その時初めて刃を握って切ったと気付いた。
「明日香!紘貴の傷を押さえろ!」
瑞穂が叫んだ。見ると相良君の左手首から血が出ていた。
視線が泳ぐ。
血…。血…。
相良君が死んじゃう。死んじゃう…。
足を踏み入れた途端、足の裏に何かが刺さった。痛くて思わず体を引いた。
よく見ると、それはリングノートの針金のようだった。ノートから外され、螺旋だったハズのそれは丁寧に真っ直ぐにされていた。足元にはまとまっていたハズの紙が散乱していた。
部屋は散らかっていた。足元をよく見て歩かないと、何が落ちているのかわからない。
瑞穂はゆっくり進んだ。その度に何かを踏む音がする。部屋の奥のベッドの上…そこに彼はいた。
「何しに来た?」
相良君の渇いた声。今まで聞いた事がない。
「紘貴の顔を見にきたよ。」
瑞穂の喉が鳴った。きっと緊張してる。
「お前らが来たって何も変わらない。由衣が生き返るわけじゃない。」
相良君の鋭い眼光が私達を捉えた。心臓の鼓動が速くなっているのを感じていた。
「ずっと考えてたよ。俺の人生…由衣がいるからあったんだ。由衣がいないのに生きてたって意味ないよね。」
「相良君がいたから由衣ちゃんだってここまで頑張ってこれたんだよ。」
私は何も言葉が出なかったのに、明日香は答えていた。強いな、って思った。
「俺だって由衣がいたから死なずに生きてきたんだ。でももう由衣はいない…。由衣のいない世界で…生きていたってしょうがない!」
相良君が動いた。机の上のハサミに手を伸ばした。
「やめろーっ!」
瑞穂が飛び掛かる。
相良君は瑞穂に押され、壁に背中を打ち付けた。
一瞬の出来事で何が起きたかわからなかった。
だけど、相良君の右手にハサミがあるのが見えてそれを取り上げるだけで精一杯だった。なかなかハサミを手放してくれず、無我夢中で引っ張った。刃を握っていたなんて気が付かなかった。掌の痛みを感じて、その時初めて刃を握って切ったと気付いた。
「明日香!紘貴の傷を押さえろ!」
瑞穂が叫んだ。見ると相良君の左手首から血が出ていた。
視線が泳ぐ。
血…。血…。
相良君が死んじゃう。死んじゃう…。