トリプレ
「死んじゃイヤだよ!相良君、死んじゃイヤー!」
 涙が止まらなかった。
 大好きな相良君。いなくならないで…。お願いだから、死なないで。

 相良君の叔母さんの悲鳴が聞こえ、救急車のサイレンが頭の中に響いた。
 放心状態の相良君を乗せて、サイレンの音は遠ざかっていった。
 瑞穂の目から血が出ている事にこの時気付いた。
 自分自身も放心していた。
 どこを見ても、薄暗い部屋の中で見た相良君の血の色だった。
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