トリプレ
 式が終わって、まだ雪が積もる外に集まった。
 みんな写真を撮ったり、泣いたり、胴上げされたりしてる。
「明日香、早く来て!」
 琉璃が背後から来て私の腕を引っ張った。なんだかよくわからないけど、瑞穂も引っ張られていた。
「いたいた!紘貴君。」
 相良君は男子と話していたけど、琉璃が呼ぶと来てくれた。
 実はフラれてから喋っていない。だからなんとな~く気まずい。
「記念に第二ボタン頂戴。」
 琉璃はハッキリ言った。確か、琉璃もフラれたって言ってなかったっけ?
「あぁ…別にいいけど。」
「明日香と瑞穂の分もね。」
「え?」
 わぁ~!やめてよ琉璃…。
「でも第二は1個しかないよ。」
「この二人には何番目でもいいから。」
 それは納得いかない。
「ちょっと待って。私だって第二ボタンがいい。」
 この際だ。わがまま言っちゃえ。
「喧嘩はやめろ。じゃあこうしよう。平等に産まれた順番にする。」
 瑞穂が提案した。産まれた順番って…
「そしたら瑞穂が第二じゃん!」
と琉璃。
「それに平等じゃない。」
 これは私。
「じゃんけんで決めよう!」
 私の真の平等な提案に二人は賛同した。
「じゃんけんぽん!あいこでしょ…」
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