トリプレ

　紘貴は行ってしまった。これで私の初恋も終わった。
「瑞穂、紘貴君行っちゃうよ。」
　琉璃が言った。すでに紘貴は校門まで歩いていた。
「あんた、気持ち伝えてないでしょ。東京に行っちゃうからって黙ってるつもり？そんなのダメだよ。早く、走れ！」
　琉璃に背中を押される。
　そんな事言ったって、今更…。
「瑞穂、正直に気持ちを伝えたら、どんな結果であっても後悔はしないよ。」
　明日香と琉璃は伝えたんだ。それで後悔はしていない。本当か？
　紘貴は私にとってすごく大切で、その思い出は失いたくない。
　あぁどうしよう…会えなくなるのに、気持ちが溢れ出してくる。