トリプレ
 瑞穂は去って行く紘貴君の背中を見つめていた。
 この子はまだ、紘貴君への想いを胸に秘めている。
 もう、じれったい。
「瑞穂、紘貴君行っちゃうよ。」
 紘貴君はもう校門まで歩いていた。
「あんた、気持ち伝えてないでしょ。東京に行っちゃうからって黙ってるつもり?そんなのダメだよ。早く、走れ!」
 瑞穂の背中を押した。
「瑞穂、正直に気持ちを伝えたら、どんな結果であっても後悔はしないよ。」
 明日香も言った。
 瑞穂は少しためらっていたけど、決心したのか追い掛けて行った。
 大丈夫、きっと。そんな予感がする。
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