トリプレ
 その時、琉璃の彼氏は琉璃の頬をビンタした。バチンッと痛そうな音がした。
 琉璃はしゃがみこんだまま動かない。
 どどどどどうしよう…
 いきなり泉は駆け出した。2人のもとまで走ると、その勢いで琉璃の彼氏を殴った。思いっきりグーで…。
 これには私も琉璃も唖然。
「何すんだよテメー!!」
 琉璃の彼氏は大激怒。私でも同じ台詞を言っただろう。
「琉璃を殴ったから殴り返してやった。」
 え…。
「やっぱり、こいつと付き合ってたんじゃないか!」
 彼氏はめっちゃ怒っている。だけど私には彼の言っている事がわからない。
「お前が琉璃を殴ったから殴り返したって言ってんだろ。意味わかんないんだけど。」
 泉は意外と冷めている。
「だから~泉は幼なじみだって言ってんじゃん。ちょっと話しただけで付き合ってるとか言われてさ。マジ、キモいんだけど。もういい!別れる。」
「はぁ?何言ってんの?何で…」
「ビンタはる男なんかと付き合ってらんない。」
 …かっこいい。今の台詞言ってみたい。あ…不謹慎?
「メールも電話もしてこないでね。帰ろっ。」
「おいっ琉璃…!」
 琉璃の彼氏…元彼は何か言ってたけど、足早に去る琉璃を追いかけるのに夢中で聞こえなかった。
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