トリプレ

　泉が久しぶりに学校に来たらしい。明日香が泉の分の教科書を借りにきた。
　突然不良となってからは、あまり話していない。幼なじみとして仲が良かったのも小学生までか。人って変わってしまうんだな。
「おい、瑞穂。俺に教科書貸したくないって言ったんだってな？」
　なぜか２時間目と３時間目の間の短い休み時間に、わざわざ泉はうちのクラスに来た。
　まさかそんな事をわざわざ言いに来たんだろうか？
「汚されたら困るからね。」
　正直に答える。
「ひでぇ奴だな。」
　だって本当に汚されたら困るもん。
「で、何しに来たの？」
「瑞穂の顔を見にきたんだよ。」
「気持ち悪い。」
「転校生の顔を見に来たんだよ。」
「あぁ。こいつだよ。」
　隣の席の紘貴は、見た目が派手な泉に驚いてるようだった。
「あぁ？」
　泉はめっちゃガンつけていた。何をそんなに威嚇してんだ。
「瑞穂の事よろしく頼むよ。」
　親戚のおっさんみたいな台詞を吐いて、泉は堂々と去って行った。
「…変わった人だね。」
「まぁね。」