トリプレ
「何で私を誘ったの?」
 率直な疑問。別に私じゃなくても良かったと思う。大宮恵那には友達がいっぱいいるし。
「だって私、友達いないもん。」
「え?いっぱいいるじゃん。仲良い人いるじゃん。」
「話をする友達はいるよ。カラオケ行ったり、メールしたり、そんな友達はいるよ。でも違う。」
「それは充分友達だよね。」
「違うよ。みんなアドレス帳を増やすために友達のフリをしているだけ。独りが寂しいから一緒にいるだけ。みんなと同じ事しないと虐められるから、合わせているだけ。それはきっと友達じゃないよ。」
「友達いない私に言われてもね。よくわかんないよ。」
 私には大宮恵那の言っている事は、ただのワガママにしか聞こえない。周りの人と上手く付き合う術を知っているのに、友達なんていないと言う。じゃあ彼女はどんな人間が望みなんだろう?本当の友達、親友になれる人間は互いの全てを分かち合える者だけなんだろうか?
「大宮さんがそう思ってても、相手は親友だと思ってるかもしれないよ。それで充分なんじゃないの?何でも知ってるのが友達ってわけじゃないと思う。」
「そっか~。ちょっと裏切っちゃったかな?みんなの事。」
「今から戻る?」
「いやっサブちゃんは見る!」
 面白い奴だな。だからみんなに好かれるんだな。私とはほど遠い人間。だけど嫌いじゃない。
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