トリプレ
 函館山の夜景…なんてロマンチック。これを友達と見てるなんて。出来れば彼氏と見たかった。
 あ~ぁ。相良君は誰と見てんだろう?
「琉璃!写真撮ろう。」
 モモ達はすでに写真撮影モード。
「じゃあ誰かに撮ってもらおう。」
 と、ちょうどいいとこに明日香だ。なんかウロウロしてるけど、まさか迷子じゃないよね?
「あっ明日香!ちょうどいいとこにいた。写真撮って。」
 明日香は一瞬イヤ~な顔したけど撮ってくれた。
「明日香、これあげる。」
 モモはお礼に明日香に生チョコを渡していた。食べ物よく出てくるなぁ。
 モモとスズカは小学校から私達3人と一緒で、数少ない三つ子を見分けられる人材だ。そして大切な親友。
「ちょっ…琉璃!」
 いきなりモモは私の肩をバシバシ叩いてきた。容赦ない。
「痛いよ、何?」
「あれ…」
 モモが指さした方にはアキラがいた。こっちに近付いてきている。
 うわ~っどうしよう。目を合わせないようにしよう。
「こっち来たよ。」
 モモが教えてくれたけど、アキラの方は見ない。
「琉璃。ちょっと話しよう。」
 とか言っちゃってんの。
「琉璃の事、浮気女とか言ったのアンタでしょ?」
 なんとモモが怒っている。
「琉璃を信じる事も出来なかったくせに、気安く話し掛けてこないでよ。」
 そう言って、モモは私の腕を引っ張って連れ出してくれた。
「あっ…ありがとう。」
「ごめん、勝手にあんな事言っちゃった。」
 モモは今更ながら後悔してる様子。
「言いたい事言ってくれたから助かったよ。ホントは一発殴ってやりたかったもん。」
「そっか~!殴るの忘れてた!」
 なんて言いながら私達は爆笑。やっぱり大切な親友だよ。
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