トリプレ
 私と明日香は自然と瑞穂に近付いていた。
「何してんの?」
って声掛けたら、瑞穂はめっちゃ驚いていた。
「誰かと思った。ビビらすなよ。」
「ビビらすつもりはなかったんだけど。」
 私と明日香は瑞穂を挟んで座った。
「…何?何で座ってんの?」
「いいじゃん。たまには姉妹水入らず?って事で。」
 とか言ってみる。家以外で3人だけって、久しぶりかもしれない。
 さて、何を話そう。
「泉がね、三つ子はエスパーの力で繋がってるって言ってたんだよ。本気で言ってたよ。」
 明日香から会話が始まった。
「バカだな。そんなわけあるか。」
 瑞穂は呆れたように笑った。
 だけど、相良君と話すきっかけは瑞穂と間違われた事だよなぁ。それってある意味繋がってるんじゃないかな?
「でも私、三つ子パワーで運命の人に出会えたかもしれない。」
「三つ子パワーって何だよ?」
 瑞穂は私にも呆れたご様子。いいから最後まで聞きなさい。
「知らない人から間違われて声を掛けられる…みたいな?それが運命の出会いだった…みたいな?これ三つ子パワーじゃん。」
 どうよ?
「三つ子パワーは意味わからんけど、明日香と琉璃には感謝してるよ。」
『え?』
 明日香と声が重なる。感謝?
「私は友達と仲良くできる明日香が羨ましいし、素直に恋愛できる琉璃も羨ましい。でも暴力女を避けないでいてくれるのは明日香と琉璃だけだ。」
 瑞穂がこんな風に私達の事を思っていたなんて意外だ。
 避ける理由がないじゃん。私達、血が繋がってるんだよ。クラスメートのように、無視したり虐めたりするわけないじゃん。
 なんとなく相良君が言ってた言葉が理解出来た。大事な姉妹。特別な関係。他の人には無い関係。だから大切にしろと言ったのかもしれない。
「何があってもこの縁は切れないんだから、避けたりするわけないじゃん。」
 明日香と瑞穂は少し恥ずかしそうに頷いた。当たり前の事なのに、なんだか恥ずかしい。
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