トリプレ

　晩御飯を終えてから明日香とコンビニまでアイスを買いに行く事になった。明日も暑いらしく、今のうちに買い置きしとこうという寸法よ。でも学校にアイス持っていけないよなぁ。
　コンビニの駐車場には泉がいた。ボーッとしてブロックに座っている。昼間の暑さでバテたんかな？
「何してんだよ？」
　特に何かしてるようには見えないけど、ついつい言っちゃった。
「別に。何かしてるように見えるか？」
　見えません。
「万引きとか企んでるんじゃないだろうね？」
「そんな事するかよ。失礼な奴だな。」
「お前みたいな奴はな、ただでさえ勘違いされやすいんだからまぎらわしい事するなよ。」
「だ～からっ何もしてねって。」
「早く帰らないとお父さんもお母さんも心配するよ。」
　明日香は泉を完全に子供扱い。
「帰ったって誰もいないからいいんだよ。」
「お父さん出張行ったの？昼間大きいカバン持ってたもんね。」
　へぇ～。
「…出てったんだよ。」
『え？』
「今日、離婚したんだ。うちの親。」
「りっ…離婚？」
　声が震えてしまった。まさかそんな単語を今聞くとは思わなかった。なんて言えばいいんだ？
「あ～あ。なんか勘違いしてるだろ。」
　泉はいつもの口調で言った。
「別に寂しいとか思ってないし。父親がいなくても全然平気。」
　…。
「むしろあいつらの喧嘩を見なくていいんだから良かったし。嫌いなんだよ、あいつら。離婚してくれたおかげで俺も気がラクになった。」
　何を言ってんだ？離婚して良かったのか？
「そんな風に言わないで。」
　明日香は泣いていた。こっちまで泣きそうになる。
「お父さんとお母さんの事、悪く言わないで。泉の大切な家族だよ。」
　明日香の言葉を聞きながら、私は自分の両親の事を考えていた。うちの親が離婚したらどうなるんだろう？