トリプレ

「三つ子ちゃん、三つ子ちゃん、暇でしょう？こっちおいで、お菓子あげる。」
　キヤマさんは手招きをして私達を呼んだ。幼稚園児扱い？
　キヤマさんから高そうなクッキーをもらった。
「せっかくだから、お父さんとお母さんの馴れ初めでも話そうか。これ、俺しか知らないんだよ。」
　キヤマさんは得意げに言った。ちょっと興味ある話だ。
「うわっ余計な事言わないで下さいよっ！」
　お父さんがこんなに焦ってるの初めて見た。ウケる。
「え～？聞きたい聞きたい！」
「こら、琉璃！」
　お母さんも恥ずかしそうにしてる。怒っても迫力ない。
「いいじゃないか。どれ、お前ら邪魔だからどっか行ってなさい。」
「きっ…木山さんっ」
　お父さんもお母さんもキヤマさんには頭が上がらないようだ。
「そうだ。欲しい本があるから、買ってきてくれ。な？いいじゃないか、たまには俺にも父親気分を味合わせてくれよ。」
「…余計な事言わないで下さいよ。」
　そう言って、お父さんとお母さんは出て行った。