トリプレ
 エレベーターホールでエレベーターがくるのを待つ。なかなか5階に止まらない。来たと思ったら通り過ぎ、上の階まで行ったりする。期待させといて来ないのかよ…つっこみたくもなるわ。
 ようやくエレベーターが開く。
 中から、相良君が出てきてビックリ!
「えっ紘貴?」
「瑞穂?何でこんなとこに…あっ…こんにちは。」
 相良君はうちの両親に気付き、頭を下げた。礼儀正しいなぁ。
「この前の…」
 お父さんは相良君を知っているようだ。いつの間に知り合ったの?
 エレベーターは閉まって下の階へ降りていった。
「誰か入院してるのか?」
 お父さんから聞くとは珍しい。
「えっと…」
 相良君の返事はハッキリしない。どうしたのかな?
「もしかして妹?」
 瑞穂は何か心当たりあるようだ。
『相良君、妹いるの?』
 琉璃とかぶった。こんなところでシンクロしても嬉しくないけど。
「…うん。妹いるよ。入院してる。」
 全部知らなかった…。とても寂しそう。
「長いの?入院。」
 今度はお母さんが聞いた。
「そうですね。ずっと…」
 もしかして、あまり調子が良くないのかな?ずっと入院してるならそーいう事だよね。
「1人でお見舞いに来たの?」
 これは琉璃が聞いた。そういえば1人だ。
「うん…みんなは忙しいみたいで。」
 相良君の家族は日曜日でも働いているんだ。大変そうだなぁ。
「相良君の家族って…」
「まぁ今度遊びに来い。」
 琉璃の言葉を遮って、お父さんは相良君に言った。何気に親しげ?
「この前と言ってる事違うじゃん。」
 瑞穂は少し怒ってるようだ。この前って何があったの?
「2人で出掛けるくらいなら親の監視下で遊んだ方がマシだからな。」
 何それ~!
「元気でやれよ。」
 キザな台詞を吐いて、お父さんはエレベーターに乗った。いつの間にエレベーター開いてたんだろう。
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