トリプレ
　お父さん達がお使いから戻って来て、キヤマさんとは病室の前で別れた。
「キヤマさんからどんな話を聞いた？」
　お父さんは少し照れてるみたい。
「色々聞いたよ。」
　明日香が意味深に答える。
「はぁ～」
　お父さんはそれ以上聞かなかったけど、大きな溜息を１つついた。
　私はずっと気になっていた事をお父さんに聞いてみた。
「キヤマさんは何の病気なの？」
　一応、小声で。
「う～ん…肝臓癌だって。」
「癌…」
　そんな予感はした。
「キヤマさん知ってるの？」
「知ってるよ。もう余命３ヶ月って。」
「３ヶ月！？」
　すべてを知っていても、どうしてキヤマさんは笑っていられるんだろう？もし私が余命を宣告されたら、死に怯えながら生きるだろう。それに堪えられる自信はない。
　キヤマさんは強い。
「お前達が幼い時から、キヤマさんは我が子のように可愛がってくれたんだ。どうしても会いたいって言ってくれたんだよ。」
　だったらもっと気の利いた事をしてあげれば良かった…。
< 88 / 203 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop