トリプレ
「ただいまぁ。」
 居間ではお母さんと瑞穂がテレビを観ていた。
「おかえり。琉璃は?」
「さぁ?」
 母よ…おたくの娘は男にうつつを抜かしておりまする。知らぬが仏…。
 着替えのために2階に上がる。3人で1つの部屋を使うのは正直ツライ。来年高校生なんだよ!お年頃なんだよ!プライバシー守りたいんだよ!
 高校入ったら言おう…か言わないか考えよう。
 再び居間へ。
 瑞穂はソファーに寝そべって読書をしていた。この子はテレビよりも本が好きなようだ。分厚い活字の集まりなんざ読む気しない。
「転校生って何て名前?」
 テレビ観ながら、とりあえず聞いてみる。
「えーとサガラっつたかな?あれ、サガワ?なんかそんな感じ。」
「テキトーだね。」
「そんな感じ。」
「さっき会ったよ。いきなりさっきの事は謝っただろって言われた。」
「ふ~ん。」
 お前もふ~んかよ!
「ちょっと暗そうだし、感じ悪い人だね。」
「誰が?」
「だからその転校生。」
「ふ~ん。」
 いやっだからもういいよ、ふ~んは!
「明日香も充分暗いけどね。」
 バタンッと本を閉じて、瑞穂は2階へ上がって行った。
 何さその捨て台詞!一言余計なんだよ!
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