トリプレ

　キヤマさんと別れて、エレベーターに乗ろうとしたら相良君がそこから出てきた。
　あっ…。
　お母さんと裏のおばさんとの会話がよぎる。
「えっ紘貴？」
「瑞穂？何でこんなとこに…あっ…こんにちは。」
　相良君も驚いていたけど、すぐにうちの両親に挨拶をした。お母さん相良君に気付いたよね？
「この前の…」
　お父さんが相良君に気付いた。もしかしたらお母さんがあの話をお父さんにもしたのかもしれない。
「誰か入院してるのか？」
　お父さんが聞く。
「えっと…」
　相良君は答えにくそうにしている。もしかして親が入院してるとか？それでおじさんの家にいるとか？
「もしかして妹？」
　だけど瑞穂の予想は違った。
　妹…瑞穂は妹がいるって言ってたけど、裏のおばさんはそんな事言ってなかった。
『相良君、妹いるの？』
　明日香とモロかぶり。明日香も何か知ってるの？
「…うん。妹いるよ。入院してる。」
　やっぱり妹がいるんだ。
「長いの？入院。」
　お母さんが聞いた。
「そうですね。ずっと…」
　ずっと入院してて家にいないから、裏のおばさんの会話に出てこなかったのかな？それとも妹はまた別の家に預けられてるとか？
　う～ん…考えたってわかんないよ！
「１人でお見舞いに来たの？」
　聞いてみた。少しずつ聞き出そう。
「うん…みんなは忙しいみたいで。」
　みんなって誰の事だよ～？
「相良君の家族って…」
「まぁ今度遊びに来い。」
　思いきって聞いてみたのに、お父さんに邪魔された。くそぅ！
「この前と言ってる事違うじゃん。」
　瑞穂は少し怒っていた。この前って何があったのかな？
「２人で出掛けるくらいなら親の監視下で遊んだ方がマシだからな。」
　んん？ちょっと待って。まさか相良君と瑞穂が二人で出掛けてたって事？
　おいおいおいおい！瑞穂に先越されたなんて！まさか付き合ってないよね？
「元気でやれよ。」
　お父さんのカッコつけた台詞…。妄想の中だけでお願いします。