ギブス
柚葉の部屋の前…

微かに、ドアの隙間から漏れ見えた灯りに…、柚葉が帰って来ている…と、言うコトが伺えた…


裕隆は、その部屋のドアを何度かノックをし…


「…柚葉、帰って来てるのか…っ」


…と、部屋の中に、問いかけた裕隆…


その、次の瞬間…


開いた…部屋のドア…

その、部屋の中から出て来た柚葉…


「…柚葉…っ」


兄の裕隆を見上げながら…笑い掛ける柚葉…

…が、その瞳が…泣きはらしたかのよぅに…、赤く腫れていた…


『お兄ちゃん…、ただいま…っ』


泣きはらした瞳のまま…

裕隆に笑い掛けた柚葉…


「お前…、その瞳…どぅした…っ」


その、裕隆の言葉に…

柚葉は、すぐ様…裕隆から視線を反らし、俯いた…


「…柚葉…っ」


『…何でもなぃ…っ』


「…何でもなぃワケがなぃだろぅっ」


急に…、声を荒げるなり…

柚葉の身体を抱き締めた裕隆…
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