ギブス
外は…

いつの間にか…、降り出した雨の粒が、薄暗い空から堕ちて来ていた…


『…雨…っ』


視界に目をこらすと…

柚葉の家のすぐはす向かいの家の外壁近くに、立っている人影を見つけた…

雨の中…、傘も差さずに…

頭から、ずぶ濡れで立ち尽くしていた…



《…なに、ズル休み…してんだょ…っ》


その、声が…耳元に届く…

その、目の前の人物の口の動きと…耳に届いた声がシンクロする…


『…先生…っ』


こらえきれずに…、部屋から飛び出した…


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『…先生っ…』


息を切らしながら…家から飛び出して来た柚葉…

すぐに、諒に抱きつき…


『なに、やってるの
雨が…降っているのに…っ、身体…濡れてるじゃなぃ…っ』


その、柚葉の言葉に、諒は吹き出しながら…


「やっぱり、ズル休みじゃん…
ダメだな…っ、学校ぐらぃ…出ないと…」


『…だって…っ』
【…先生に…

会いたくなかったからだょ…



会いたかったけど…

逢うのが、辛かったから…っ】


泣いている柚葉の頬の粒を…諒は指先で拭いながら…


「…って、俺のせぃか…っ」


そぅ、ため息混じりに…言った諒…


その諒の言葉に、余計…涙がこぼれ落ちた…


「…柚葉は、もぅ…終わりにしょうか…っ」


その、声が…何処か遠くで聞こえた気がした…
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