ギブス
「じゃ、明日…学校にちゃんと来るコト…」


…と、唇を解放し、身体を離したアト…

諒は、柚葉の頭を軽く叩きながら言った…


いつもなら…、“背が縮むっ”…と、柚葉が怒る所だが…今日はその様子もなぃ…


柚葉は、ただ…頷き返した…

そのまま…、諒と視線を反らしたまま…何の反応も示さない…


諒は、再び…踵を返し、降りしきる雨の中を、歩いて行く…


『……っ』


その、靴の音が…少しずつ…、遠くなっていく…

その時になってようやく…



柚葉は、その場に腰を降ろし…、両手で顔を覆い隠し…泣いた…




その、2人の様子を…見つめていた人物がいたコトを…、誰も気づかなかった…
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