ギブス
身体を起こし、緩んでいた制服を直した柚葉は…


『…お兄ちゃん、先生はっ…』


…と、裕隆に聞いた柚葉…


「…あ、俺が来た時には、いなかったよ…」


その、裕隆の言葉…

予想していた…とは、いえ…ショックだった…


『…そっか…』
【…いくら…

追いかけても…


好きだって、言っても…

もぅ、ダメなのかな…っ】


柚葉の、その無反応に近い反応に…

裕隆は、重苦しいため息をついた…


「お前さ、あの人を…好きでいるの、止めたらっ」


そぅ、言った…裕隆の方に、視線を戻した柚葉…


『…あの人…っ』


聞き返した柚葉に…


「…櫻井先生…
大体、大人のあの人が…高校生を相手にしなくても、大人の女の人の方が…あの人には…」


その、言葉を言いかけた裕隆は、言葉に詰まった…

柚葉が…、今にも泣き出しそぅな表情をしていたから…


『…分かってるょ…』
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