ギブス
「柚葉、ごめん…
帰ろうか…っ」


その、裕隆の声に…柚葉の身体が一瞬、ビクついた…


「…柚葉っ」


その、柚葉の些細な変化に気づいた紗理奈…

少しずつ…、血の気が引いていくよぅに…表情を失っていく柚葉に…


「…あ あの…、今日…柚葉、ウチに泊まるんです…
前から、そのつもりで…
体調、悪かったみたぃだから…止めよぅと思ったけど…
調子も、戻ったみたぃだし…っ。
いぃですよね…っ」


『……っ』
【…紗理奈…っ】


その、紗理奈の言葉に…

裕隆は、何の疑いもなく…2人に、満面の笑みを浮かべながら…


「そっか…、柚葉…、あんま…迷惑掛けるなょ…」


『…ぅん…』


裕隆の言葉に、頷き返した柚葉…


そして…、裕隆は、2人に背を向け…廊下を歩いて行った…

柚葉は、その裕隆の背中に、視線を送りながら…安堵のため息を漏らした…
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