ギブス
「…あ、あの…
こんなコト…、また再々お願いするのは…」

「…“妹には関わるな…っ”…って、言いに来た…っ」


裕隆は、自分が言うつもりでいた言葉を…、先に諒に言われ…言葉を失った…


「…っえ…っ」


暗がりで…表情から読み取るコトなど、困難なはずなのに…っ

何故か…、諒のその表情や、その瞳の迫力に気圧されそぅだった…


「…分かるよ…、
人間の行動パターンなんて…」


「そぅですか…
とにかく、妹を傷つけなぃでくださぃ…っ
このまま…、そっと…」

「あの子は…、俺がどんなに突き放しても…
俺の元に戻って来る…」


「……っ」


その時に、気がついた…

人のモノとは、違う…瞳に…


気づくのが…、遅すぎた…


「アンタ…、まさか…っ
柚葉に…っ」


その、裕隆の口から漏れた言葉に、諒はにやつきながら…


「気づくのが…遅すぎた…ね…
柚葉は…、俺だけのモノだからね…
君は、最初に言ったはずだ…
“妹を頼む…”…と、その言葉を覆す…のは、どぅなのかなっ
ソレに、柚葉は…俺から離れられなぃ…
身体も…、精神も…離れられなぃからね…」


「…っな…っ」


動揺している裕隆に、ほくそ笑みながら…、諒は裕隆に背を向け…歩いて行った…


「……っ」
【何だ…

…あの瞳…っ


まるで…、…人のモノじゃなぃよぅな…っ】


冷や汗が流れた…

あの迫力に…指先が震えていたいたコトに…
< 154 / 362 >

この作品をシェア

pagetop