ギブス
…が、急に…諒から視線を反らし、身体の向きを換えた柚葉…

その、柚葉の行動に…


「…柚葉…っ」


柚葉の、その細い肩を…軽く揺さぶりながら、その名を呼んだ…


『…何で…っ』


「…っえ」


柚葉は、その瞳に…涙をいっぱい溜めながら…、身体を起こしながら…諒の方を振り返り…


『…ホントのコトを…話してはくれなぃの…っ
あの人…、奏さんが…ただの冗談で…あたしに…先生が死ぬかもしれなぃ…だなんて、言うはずなぃじゃないっ』


「……っ」


『あたしは…、4月に…あなたに捕らえられた時から…
あなたしか見えてなぃのに…
少しでも…近づきたくて…、釣り合うよぅな…女の人になりたくて…
…なのに…、他の人に染まるはずなんてなぃのに…っ』


…と、羽織っていたシャツの袖で…頬に伝い落ちている涙を拭いながら言った柚葉…

その、柚葉の言葉に…、微かに驚きを隠せない諒…


「…柚葉…っ」


『…他の人なんて…好きになるはずがなぃのに…っ』


…と、嗚咽混じりに言った柚葉…


「……っ」


柚葉の、その言葉が…諒の胸に突き刺さる…
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