ギブス
『……っ』


その、人物は…柚葉の方に視線を向け…


「…てさ、俺と柚葉ちゃんの兄さんを間違えるなんて…、酷くなぃっ
こんなんじゃ…、振られたの…バラされたよぅなモンじゃん…っ」


そぅ…、苦笑いを浮かべながら…ケタケタと笑っている…


『…奏…さん…っ』


「でも、ここに…神城と3年の神城先輩だって…っ」


…と、口を挟んだ生徒の言葉…

奏は、その男子生徒の方を向き、その生徒を睨みつけながら…


「じゃ、その遠目からの写真で人物の特定が出来るのかっ
貼られてあった写真と、ここに書いてあったコトで…事実かどぅかも分からないよぅなコトで、彼女を責めるんじゃなぃっ…って、言ってんだょ…っ」

『……っ』
【…奏さん…っ】


奏は、柚葉の方に向き直り…、いつものよぅに柔らかな笑顔を浮かべ…

柚葉の横を通り過ぎて行った…


『……っ』


その、奏が教室を出て行ったアト、一瞬だけ…静けさが戻った…


「…二宮先輩、カッコいぃ…っ」

「でも…、先輩があぁいうのなら…っ」


…と、それまでのざわめきも消えつつあった…
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