ギブス
腰かけていた机から降りた柚葉…


その、柚葉の小さな両肩に手を置いた諒…


「…柚葉…っ」


少しずつ…、近づいて来る…諒の顔…


唇が…、重なりそぅな…直前で…顔を背けた柚葉…

キツく…両目を閉じ、カタカタと震えている…


『……っ』
【…キスされる…っ】


「………」


その、唇が重なりそぅな…、寸前で…震えている柚葉に…

諒は、その身体を離した…



瞼を閉じたままの柚葉…、一向に…、ナニも起こらない…

その状況に…


よぅやく…柚葉は、両目を開けた…



その、次の瞬間…


諒は、柚葉の頬に…、キスをした…


『……っ!』


急な…出来事に…

咄嗟に…、自分の頬に触れた柚葉…

少しずつ…、熱を帯びていく…紅潮していく頬…


「ナニ、期待してるんだ…っ
お前みたぃな子どもに…、キスするとでも…思ったのか…っ」


その、諒の言葉に…頬が紅潮し、耳元まで染まった…


『……っ///』


先程まで…の、コトが…脳裏に駆け巡る…

止まっていたはずの涙が…、急に溢れだし…


柚葉は、諒の頬に平手打ちを食らわしていた…


『酷い…っ!
こんな…、あたし…小さな頃に逢った…あの人に…、憧れてたのに…っ!
からかわないでくださいっ!
あたし…、あの時の先生の言葉に…救われたのに…っ!
いつも…お兄ちゃんと比べられてばかりいたあたしに…っ』


そぅ…、泣きながら…言った柚葉…


すぐ様、机の上に置いたままになっていた鞄を拾い…

柚葉は、教室を出て行った…


その時に、気がついた…

教室のドアに鍵が掛けられていたコトに…
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