ギブス
『っどぅっ』


待ってた…と、ばかり…

身を乗り出して…聞いて来た柚葉に、諒は、口にしたモノを吹き出さないよぅに口元を押さえながら…懸命に飲み込んだ…


「…柚葉…っ、そんなんじゃ…食べれなぃ…って…」


そぅ、微かに頬を引きつらせながら言った諒の言葉に…柚葉は、テーブルに乗り出していた身体を元に戻し…

意気消沈…と、言うよぅに…肩をすくめた…


『だって…』
【たった一言でも…

“美味しいよ…”って…

“よく、頑張ったね…”って…

言って貰いたぃんだもん…っ】


「…美味しいに決まってるよ…
柚葉が…、頑張って作ってくれたんだから…
柚葉のお母さんが…、君をどれ程、愛して…慈しんで育てて来たのか…
柚葉を見れば…分かる…
仕事で、忙しいお母さんの代わりに…お兄さんと一緒に手伝いながら、やってきたんだよね…っ」


『……っ』
【…先生…っ】


諒の、その言葉に…

驚きの余り…、両目を見開いて…言葉を失った柚葉…

次第に…、その瞳に…涙の粒が溢れ出しそぅになる…
< 242 / 362 >

この作品をシェア

pagetop