ギブス
「三上さんっ」


…と、慌てて…先程、出て行った刑事を追いかけた裕也…


閲覧室から、持ち出してきた資料を、その刑事・三上に見せながら…


「三上さん、6年前にも…あったんですよ…
体内から、血液が一滴もなくなった殺人事件がっ
未解決なまま…犯人も未だに捕まってはいない…」


その、事件資料を…裕也の手から奪い取る…かのよぅに読み始めた三上…


「その事件の…、第一発見者が…
当時、小学生だった女の子…、いま…高校生になっているはずです…」


その、資料に書かれてあった名前に、首を傾げた三上…


「…あ その事件なら…俺の同期のヤツが捜査に当たっていた…
第一発見者の女の子…、犯人を見たはずなのに…記憶がない…って…、一時的なショックだろぅが…捜査の協力を要請したが…、家族が嫌がったんだ…
ショックで、記憶を失ったのなら…思い出させたくなぃ…と…、捜査への協力も拒否した…
まぁ…、物的証拠もナニもない…野犬か何かだったんだろぅ…っ」


「その子…、神城 柚葉って…
俺の弟の同級生の子で…
昨日、あの高校教師の自宅マンションにいた女の子なんですよ…」


そぅ…、そこまで言った裕也の言葉に…、裕也に視線を戻した三上…


「…あの子…、犯人のコトを覚えていなぃんですよね…っ
だが…、その犯人は…っ
もし、本当に…この子が第一発見者だとしたら…
この子は、覚えてなくても…相手の犯人はっ
野犬などではなく…、変質者的趣向の殺人鬼だったら…っ」


そぅ、言った裕也の言葉…

2人の脳裏に…最悪…な、事態が脳裏を掠めた…
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