ギブス
その瞳に、浮かんだ…涙の粒…


『…先生…、どぅして…そんな…っ』
【どぅして…、そんなコトを…っ

何か…、まるで…っ】


…と、不安気な表情をして見せた…柚葉…


「……っ」


その、表情が…ナニを言おう…としているのか…っ?


…が、諒は柚葉に、笑顔を見せながら…


「どぅかした…っ」


…と、まるで…柚葉の反応を、少しも気づいていなぃ風な口振りだった…


『…っ何でも…なぃです…っ』
【…気…の、せぃかな…っ】


柚葉も、諒の些細な変化に気づく余裕などなかった…

ただ、諒の言葉の全てが…、自分の世界を彩る音色と化していきつつあったから…
< 288 / 362 >

この作品をシェア

pagetop