ギブス
出る…か、どうしょうか…迷った…


『……っ』


…が、微かな予感がした…


『………』
【この、番号は…、

もしかしたら…


…先生…っ?】


柚葉は、意を決し…

携帯のボタンを押し、耳元に…


『…はぃ…』


その、耳元に…


《…柚葉…っ》


その、耳元に届いた…声…


一瞬…に、して…

胸が高鳴った…



低めがちな…、落ち着いた声…


『…先生…っ、ど…して?
あたしの携帯の…っ』


《お前さ…、普通…生徒手帳に、自分の携帯の番号やアドレス…書かないだろっ
落とした時…、個人情報を、自分からバラまいて、どぅすんだょっ》


…と、柚葉の言葉を遮り、言った諒の言葉…

その声だけで…、胸が…張り裂けそぅになる…



柚葉は、いつの間にか…止まった涙の代わりに…

自然に、笑みがこぼれていた…


『だって…、携帯を落とした時に困るから…』


その、柚葉の言葉に…

電話の奥の諒は、吹き出した…


《…馬鹿っ
携帯より、生徒手帳の方が個人情報が載ってんじゃなぃかっ
自分の携帯の番号ぐらい、覚えろょっ》


その、諒の言葉に…、泣いて…傷ついたコトなど…忘れてしまぃそぅだった…
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