ギブス
その…、一瞬、覗かせた祐也の寂し気な表情に…


『…す、…すぃません…っ』


「神城さん、あの事件の直後に…一時的に記憶を失ってしまったんですよね…っ
今は、大丈夫ですかっ」


先程の寂し気な表情とは、違い…緩やかな笑みを浮かべながら言った祐也の言葉に…

柚葉の方も…、いつの間にか…指先の震えも治まっていた…


『…あ、はぃ…
カウンセリングの先生も…いぃ方でしたから…っ』


「…良かった…
怖い思いをされたんだから…、イヤなコトは、早く忘れた方がいぃですよね…っ」


『……っ』


祐也の、言葉に…思わず首を傾げた柚葉…


「っあ…っ でも、何か…思い出したら…教えてくださぃねっ」


…と、慌てて…そぅ、言った祐也の言葉に…、柚葉は吹き出して見せた…


「っあ、じゃ…ホントに何か思い出したら…お願いしますね…」


そぅ、苦笑いしながら…歩いて行く…
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