ギブス
『……っ』


その…、路地を歩いて行く…祐也の背中を見送りながら…


先程、脳裏に浮かんだ…言葉が蘇った…


柚葉は、再び…震え出した手で…右耳を押さえる…


『……っ』
【あの時…

あの人は…、そぅ…言っていたの…っ


…分からない…

ホントに、そぅ…言っていたのかさぇ…



あの人…、あの時に逢っていた先生が…

あたしを…何処に居ても…

…見つけ出す…って…



確かに…、最初は、そぅ…だったかもしれないけど…

今は、あたしのコトを…‐好き‐…だって…言ってくれたし…


先生も…6年前に、言ったコトなんて、忘れてしまっているのかもしれなぃし…っ】



その…、脳裏…に、思い浮かんだ…思い出した言葉より…

いま…の、‐幸福‐…が…、壊されなぃよぅに…守っていくしかない…



『……っ』
【…絶対に…

何処にも…、行かないで…っ】
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