ギブス
その、柚葉の素直さに…

諒は、吹き出しそぅになるのをこらえた…


「…ちゃんと…、返す…」


そぅ…、頭の上から聞こえた声に…顔を上げた柚葉…


「いまは…、手元にないから…
職員室の鞄の中にある…」


その諒の言葉に…、柚葉は一瞬にして…涙も止まり、笑顔を見せた…


『…ホント…ですか…っ』


「…あぁ…、放課後…また、ここにおぃで…
その時に、返す…」


『…はぃ…っ!失礼します…っ!』


…と、すっかり上機嫌になった柚葉…

そのまま踵を返し、資料室を出て行こうとした柚葉…


「…柚葉…っ」


その、背後から聞こえた…諒の声に、振り返った柚葉…


その、柚葉の目の前に…掲げられた小さな黒い紙袋…


『…っえ…っ』


…と、首を傾げた柚葉…


「…先月末…、誕生日だったろっ」


『……っ』
【…っあ…、生徒手帳に書いてあった…

あたしの…誕生日…っ】
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